がん化学療法に関わる薬剤師を目指すとき、「病院」と「調剤薬局」どちらのキャリアを選ぶべきか迷う方は多いと思います。
本記事では、それぞれの現場での役割の違いや、がん領域でのキャリア形成におけるメリット・デメリットを整理し、あなたに合った道を見つけるヒントを提供します。
がん薬物療法に関わる薬剤師の需要が高まっている
高齢化に伴いがん患者数は増加し、外来で抗がん剤治療を行うケースも増えています。
そのため、薬剤師の関与は「病院内」だけでなく、「地域」や「在宅」にも広がっています。
がん治療の現場に関わるには、どの職場で経験を積むかが非常に重要です。
病院薬剤師の特徴とがん領域でのメリット
◾ 主な特徴
- チーム医療の一員として治療方針に関与
- 抗がん剤の無菌調製
- レジメン管理や副作用モニタリング
- がん専門医や看護師との連携が密接
◾ メリット
- 実際の抗がん剤治療に深く関与できる
- がん専門薬剤師・認定薬剤師などの資格取得に有利
- 最新の治療知識を身につけやすい
◾ デメリット
- 土日出勤・夜勤・当直など勤務が不規則になりやすい
- 緊張感の高い場面も多く、精神的負担も大きい
調剤薬局薬剤師の特徴とがん領域での可能性
◾ 主な特徴
- 抗がん剤の処方に対する監査や服薬指導
- 外来がん治療を受ける患者の副作用対応
- 在宅医療との連携も拡大中
◾ メリット
- 患者との関係が長期にわたり構築できる
- 地域医療や在宅医療にも携われる
- 働き方の選択肢が広く、ワークライフバランスを取りやすい
◾ デメリット
- 調剤業務が中心で、病院より治療の全体像に関わりにくい
- がん関連資格取得の要件(症例数など)を満たしにくい場合がある
がん領域を目指すならどちらを選ぶ?
◾ 専門性を高めたいなら「病院薬剤師」
- 抗がん剤の調製や治療プロセスに直接関われる
- 「がん専門薬剤師」「がん薬物療法認定薬剤師」などを目指す場合に有利
◾ 地域に根差した支援をしたいなら「調剤薬局薬剤師」
- 地域密着型の支援で、がん患者の生活全体をサポートできる
- 「外来がん治療認定薬剤師」などを目指す場合にマッチ
現場を移ることでキャリアの幅は広がる
最初に選んだ進路が全てではありません。
調剤薬局から病院へ、あるいはその逆も含め、キャリアチェンジは可能です。
転職を検討する際は、自分の目指す将来像に合った環境を見極めることが重要です。
まとめ:がん領域を目指すなら、自分の“やりたい支援”を明確に
がん治療に関わる薬剤師は、患者の命と生活を支える重要な存在です。
「治療に深く関わりたい」「地域で寄り添いたい」など、自分の理想とする関わり方を明確にすることが、進路選択の第一歩となります。

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