副作用対策は誰の役割?〜チームで取り組むがん薬物療法の支持療法〜

キャリアシリーズ

「治療継続のカギ」は、がんそのものではなく、“副作用”にある。

支持療法って、なんのこと?

支持療法とは、抗がん剤そのものの効果を高めるために、治療を“支える”ケアや薬物治療のことです。
例として、以下のような場面が挙げられます:

  • 吐き気や嘔吐を防ぐ制吐薬の使用
  • 好中球減少を予防するG-CSF製剤
  • 便秘や下痢のコントロール
  • 皮疹・口内炎の対策
  • 疼痛・倦怠感の緩和

つまり「副作用への対応」すべてが支持療法にあたります。

誰がやるの?副作用対策のチーム構成

「副作用=薬剤師」と思われがちですが、実際には多職種の連携が求められます。

職種主な役割
医師副作用の重症度評価、治療方針の調整、支持療法薬の処方など
看護師症状の早期発見、スキンケア・生活指導、服薬状況の確認など
薬剤師副作用リスクの予測や重症度評価、支持療法の提案、モニタリングとフィードバックなど

誰か一人が頑張るのではなく、「チームで拾い上げ、共有し、先回りする」のが理想です。

よくある副作用と対策のポイント

代表的な副作用について、対応例を簡単にまとめました。

  • 吐き気・嘔吐:予防的な制吐薬が重要(5-HT3拮抗薬+NK1拮抗薬+デキサメタゾン+オランザピンなど)
  • 発熱性好中球減少症:リスクが高い場合はG-CSF製剤を予防的に使用
  • 皮膚障害(分子標的薬など):開始前からの保湿やスキンケア指導
  • 便秘・下痢:抗がん剤に応じた下剤や止痢薬の選択と指導が必要
  • 口内炎:粘膜保護、うがい指導、食事アドバイス

すべての副作用に共通するのは、「予防・早期対応」がカギということです。

薬剤師の介入でどう変わる?

薬剤師がチームに入ることで、“あとから対応”ではなく“先に提案”ができます。

  • レジメン開始前に支持療法薬の見直しを提案
  • 副作用が出やすい薬剤へのアラートや予測
  • 副作用報告→再発防止の教育と共有

薬剤師が「副作用の通訳」となり、医師と看護師をつなぐ橋渡し役になります。

まとめ:副作用対策はチーム全体の責任

副作用は、抗がん剤治療の継続を妨げる最大の障壁です。
でも、「副作用が起きてから対応する」ではなく、「起こる前に備える」ことができれば、 患者さんのQOLも治療継続率も大きく改善できます。
看護師・医師・薬剤師、それぞれの視点とスキルを活かして、支える医療を実現していきましょう。

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