【化学療法レジメン作成のリアル】薬剤師が語る現場の工夫とチェックポイント

キャリアシリーズ

化学療法レジメンは、がん診療における「設計図」とも言える存在です。特に外来化学療法が増加する中で、レジメンの正確さと安全性は、患者さんの治療を支えるうえで極めて重要です。本記事では、病院薬剤師として実際にレジメン作成・管理に関わる中で見えてきた「押さえておきたいポイント」と「現場の工夫」をご紹介します。

1. レジメン作成に必要な情報とは?

レジメン作成の第一歩は、正確な情報収集です。以下の点は必ず確認します:

  • 診療ガイドライン(最新版)
  • 臨床試験結果(根拠となる臨床試験が必ずある)
  • 添付文書・インタビューフォーム・適正使用ガイドなど
  • 施設の体制(投与経路、入院・外来可否など)
  • 検査値、支持療法の整備状況

2. 投与スケジュールは「現実的に」設計する

薬剤の投与スケジュールは、ガイドライン通りであっても、患者さんの生活病院の運用に合わせた調整が必要です。

  • 曜日の制限(週末を避けるなど)
  • 化学療法室の稼働状況
  • 外来患者の通院負担
  • 連携先(訪問看護や地域薬局)との連絡体制

「安全で効果的」だけでなく「続けやすいレジメン」であることも重要です。

3. 支持療法をレジメンに組み込む

抗がん薬だけでなく、制吐薬・G-CSF・アレルギー予防・保湿薬などの支持療法もレジメンに含めることが多くなっています。

特に、FOLFOXIRI + ベバシズマブなど副作用の強いレジメンでは、事前のオーダー設計が重要です。治療強度を上げるために、G-CSF製剤を組み込むdose-dence AC療法もあります。

4. チーム医療の視点を忘れずに

レジメン作成は薬剤師の単独作業ではありません。以下のような連携が不可欠です。

  • 医師:レジメン内容の妥当性確認・投与量の確認
  • 看護師:副作用モニタリングと実施上の工夫
  • 事務部門:レジメン登録・保険算定確認・支持療法の確認

レジメンを共通言語として、チームで患者さんを支える仕組みをつくりましょう。

5. レジメンの更新と見直し

新薬の承認やガイドライン改訂に応じて、レジメンの定期的な更新が必要です。現場で使いやすいフォーマット、更新履歴の管理、院内の共有方法など、運用面も重要な要素です。

診療や治療に関するガイドライン、副作用対策のガイドラインが改定された場合には、それに基づきレジメンも更新していくことが大切です。

おわりに

レジメン作成は一見「地味」な作業ですが、治療の安全性・効率性に直結する大切な業務です。薬剤師が現場目線で設計・提案し、医療チーム全体で共有することが、質の高いがん医療につながります。
今後も現場の知見を活かして、より良いレジメン運用を目指していきたいと思います。

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