

本日は、ナイトロジェンマスタードについて解説していきます。
◾️殺細胞性抗がん剤の種類
殺細胞性抗がん剤は、作用機序によりいくつかの種類に分類されています。
・アルキル化薬
・代謝拮抗薬
・トポイソメラーゼ阻害薬
・微小管阻害薬
・白金製剤
この投稿では、アルキル化薬の1つであるナイトロジェンマスタードについて解説します。
◾️アルキル化薬とは?

◾️ナイトロジェンマスタードとは?
ナイトロジェンマスタードは、アルキル化薬に分類される抗がん剤の一群で、DNAを直接障害することで細胞分裂を妨げるという作用機序を持ちます。
もともとは、第一次世界大戦で使用されたマスタードガスをベースに開発され、がん細胞のDNAにアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基)を付加(アルキル化)して架橋や切断を誘発し、細胞死(アポトーシス)を引き起こします。
■ ナイトロジェンマスタード系と特徴

■ ナイトロジェンマスタード系の作用機序
•DNAのグアニン塩基にアルキル化反応を起こし、2本鎖の架橋形成を誘導
•細胞周期非特異的に作用するため、急速に分裂するがん細胞に対して強力
•正常細胞(骨髄、消化管、毛母細胞)にも影響するため、副作用の発現が課題
■ 主な副作用
・骨髄抑制 白血球減少、貧血、血小板減少
・消化器症状 悪心、嘔吐、下痢
・出血性膀胱炎(特にシクロホスファミド、イホスファミド)
■ 使用上のポイント
・常温で揮発しやすいため、閉鎖式接続器具を用いて、しっかりと曝露対策を
・水分摂取と排尿管理が重要(出血性膀胱炎対策)
・適切な支持療法(制吐薬、G-CSFなど)と併用することで継続治療を支援
・遺伝子変異に基づく分子標的薬や免疫療法と異なり、腫瘍タイプを問わず作用するため、ベース治療薬としての価値が高い
■ まとめ
ナイトロジェンマスタードは、古典的ながら現在も幅広いがん種で使用される重要な抗がん剤です。
それぞれの薬剤の特徴や副作用に応じて、適切な支持療法と薬学的管理が求められます。
抗がん剤治療に携わる薬剤師・医療従事者として、基本的な作用や副作用管理を理解しておくことが重要です。