

本日は、抗がん剤ってどんなものなの?というところを解説していきます。
抗がん剤ってどんなもの?
がんとは、体の細胞が異常な増殖をする病気です。通常、私たちの体の細胞は規則正しく増えたり、古くなると死んだりする仕組みになっています。しかし、何らかの異常が起こると、細胞が無制限に増殖し続け、腫瘍を作ることがあります。この異常な細胞の増殖が「がん」です。
抗がん剤とは、「がん細胞の腫瘍増殖過程に働いて、がん細胞の増殖を妨げ、がん細胞を死滅させる目的の薬剤」 特定非営利活動法人 日本肺癌学会HPより
抗がん剤といっても、殺細胞性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬など作用機序によって様々です。
作用機序ってなに?
薬の説明でよく出てくる「作用機序(さようきじょ)」って言葉。
難しそうだけど、実はこんなイメージです👇
💊 薬が“どうやって”効くのか
=「どんな仕組みで病気に効くのか」を表す言葉です。
たとえば分子標的薬なら…
🧬「がん細胞だけが持っている目印を見つけて、そこを狙って攻撃する」
この“狙い方の仕組み”が作用機序です。
日本国内で承認されている抗がん剤は、2025年3月時点で200種類以上あります。
新薬の承認、適応追加、副作用情報の更新など、添付文書の改訂は毎年のように行われており、常に最新情報へのアップデートが求められます。
薬剤師の方だけでなく、医師や看護師の皆さん、これから薬剤師や医師などの医療従事者を目指す学生さん、そして患者さんやご家族など、がん薬物療法に関わるすべての方に向けて、わかりやすく解説していきます。
①殺細胞性抗がん剤
・DNAの合成阻害などにより、がん細胞を死滅させる
・がん細胞だけでなく、正常細胞にも同様に作用
・吐き気や脱毛、骨髄抑制など共通する副作用があるが、頻度は種類によって異なる
・テレビのドラマなどで昔から抗がん剤として取り上げられるため、患者さんやご家族がイメージされるのは、殺細胞性抗がん剤が多い
・内服薬もあるが、点滴も多く、作用機序の異なる抗がん剤を組み合わせて使用することが多い
②分子標的薬
・がん細胞に多く発現している分子(目印)に作用
・殺細胞性抗がん剤より、がん細胞に特異的(正常細胞には作用しにくいが、作用する可能性がある)
・作用する目印によって、特徴的な副作用が発現する
・点滴もあるが、内服が多い
③免疫チェックポイント阻害薬
・がん細胞は、免疫から逃れる能力を持っている(免疫にブレーキをかけるイメージ)
・免疫にかかるブレーキを解除して、免疫細胞を活性化させることで抗がん作用を発
・殺細胞性抗がん剤と比較して、発現率は低いが、免疫が活性化したことによる副作用が起こる
まとめ
殺細胞性抗がん剤
・がん細胞だけでなく、正常細胞にも作用する
・薬によって、発現しやすい副作用や時期が異なる
分子標的薬
・特定の分子に対して作用する(がん細胞に特異的なものから正常細胞にもあるものも)
・標的としている分子によって、発現する副作用が異なる
免疫チェックポイント阻害薬
・免疫機構に作用し、免疫のブレーキを解除する
・免疫が過剰になった副作用が発現する
殺細胞性抗がん剤から詳しく解説していきます!