抗がん剤治療の副作用の中でも、多くの方が悩まされるのが吐き気や嘔吐です。これは、脳の延髄外側網様体にある「嘔吐中枢」が刺激されることによって起こります。ここでは、症状の種類や対策方法を整理してみましょう。
吐き気・嘔吐のタイプ
抗がん剤による吐き気は大きく3つに分けられます。
- 急性型
治療開始から24時間以内に起こるもの。 - 遅発型
点滴終了後、1日以上たってから数日続くタイプ。 - 予測型
過去のつらい経験がトラウマとなり、治療前から吐き気を感じる場合。
日常でできる予防の工夫
1. 姿勢と動作
- 嘔吐時は横向きになると、吐いた物が気管に入りにくくなります。
- 急な動きは吐き気を悪化させるため、ゆっくりと行動を。
2. リラックス
- ベッドや椅子で身体の力を抜き、深呼吸で緊張を緩めましょう。
- 好きな音楽を聴くことも気分転換に役立ちます。
3. 口の中をすっきり保つ
- 食事前のうがいは吐き気を軽減します。
- 番茶、レモン水(数滴レモン果汁を加えた水)、無糖炭酸水、氷水などがおすすめ。
4. ツボ刺激
- 手首の内側にある「内関(ないかん)」は吐き気軽減のツボ。
手首のシワから指3本分下を、2時間ごとに5分間押してみましょう。
食事面でのポイント
- 少量を回数多く
一度にたくさん食べると胃に負担がかかります。 - 冷たくてさっぱりした食品
ゼリー、プリン、アイス、シャーベット、豆腐料理、煮物、あんかけなどは食べやすくおすすめ。 - 消化の良いものを選ぶ
揚げ物や脂身の多い肉は胃もたれの原因になります。 - におい対策
調理後に冷ましてから食べると、香りが抑えられます。 - 水分と電解質の補給
水、お茶のほか、スポーツドリンクやスープも有効です。
※飲むことで吐き気が悪化したり水分が摂れない場合は、早めに病院へ。
周囲のサポートも大切
- 優しい声かけや背中をさするなどの触れ合いは、不安軽減につながります。
- 吐き気が強いときは、制吐剤の使用を我慢しないで。医師が処方するイメンド®などは、3日間連続服用で効果が高まります。
まとめ
吐き気や嘔吐は我慢するものではありません。姿勢・食事・生活習慣の工夫と薬の活用で、つらさを少しでも減らすことが可能です。体調の変化は遠慮せずスタッフに相談しましょう。
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