乳がん治療では、副作用としてお腹の調子や皮膚のトラブルが起こることがあります。「薬が効いている証拠」と言われても、毎日の生活に支障が出るとつらいですよね。
今回は、乳がん治療中に多く見られる「下痢・便秘・皮膚トラブル」について、原因・対処法・病院に相談すべきタイミングをわかりやすくまとめました。自分でできるケアと、医療者と相談すべきことを見極める参考になれば幸いです。
💩 抗がん剤で下痢になるのはなぜ?
乳がんの治療薬の中には、腸の働きに影響して下痢を引き起こすものがあります。とくに、「イリノテカン」や一部の分子標的薬(アベマシクリブなど)では、注意が必要です。
薬が腸にダメージを与えることで、食べたものの吸収がうまくいかず、水っぽい便が出やすくなります。
▶ 対処のポイント
- 下痢が始まったら早めに下痢止めを使う(例:ロペラミド)
- 水分と電解質をしっかり補給
- 消化にやさしい食事(うどん、にゅうめん、おかゆなど)を選ぶ
- 冷たい飲み物や脂っこい食べ物は控えめに
🚨 こんなときは病院に連絡を!
- 1日4〜6回以上の下痢が続く
- 下痢が24時間以上止まらない
- 発熱や強い腹痛を伴う
- 血便が出た
下痢を我慢していると、脱水や体力低下につながることがあります。早めの相談が安全につながります。
🧻 便秘になりやすいのはどんなとき?
逆に、「便秘」になる方も少なくありません。抗がん剤の副作用だけでなく、吐き気止めや痛み止め(オピオイド)が原因になることもあります。
また、治療中は水分や食事の量が減りがちで、体を動かす機会も少なくなるため、便秘が起こりやすくなります。
▶ 対処のポイント
- 水分を意識して摂る(1日1.5~2Lが目安)
- 食物繊維の多い食事(野菜、果物、雑穀など)を取り入れる
- 朝食後など、毎日同じ時間にトイレに行く習慣をつける
- ウォーキングやストレッチなど、軽い運動も◎
🚨 こんなときは要注意
- 3日以上出ない、腹部がはって苦しい
- 吐き気や嘔吐を伴う
- お腹にガスがたまってつらい
医師から下剤や便軟化剤を処方してもらえる場合もあります。無理に我慢しないで相談してください。
🧴 お肌のトラブルも意外と多い?
乳がん治療では、皮膚のかゆみ・赤み・乾燥・湿疹などのトラブルもよく見られます。特に、分子標的薬やホルモン療法では、皮膚が敏感になる方が多いです。
また、放射線治療を受けている部位は、乾燥やひりつきが出やすくなります。
▶ スキンケアの基本
- 刺激の少ない低刺激性の保湿剤をこまめに使用
- 強くこすらず、やさしく洗う(泡でなでるように)
- 紫外線対策を忘れずに(日焼け止めや帽子など)
- 化粧品やボディソープはアルコールフリー・無香料がベター
🚨 気をつけるサイン
- かゆみや赤みが広がる
- 発疹がジュクジュクしてきた
- 痛みを伴う皮膚のただれ
皮膚症状は、放っておくと悪化することも。皮膚科や主治医と連携して、早めに対応しましょう。
🗒まとめ:不快な症状は「がまんしない」で
症状 | 主な原因 | 自宅でできること | 相談の目安 |
---|---|---|---|
下痢 | 抗がん剤、分子標的薬 | 下痢止め、水分補給、食事調整 | 発熱、長引く、脱水サイン |
便秘 | 吐き気止め、痛み止め | 水分・食物繊維・軽い運動 | 3日以上出ない、吐き気 |
皮膚のトラブル | 分子標的薬、ホルモン療法 | 保湿、刺激を避けるケア | 発疹が広がる、痛みやジュクジュク |
コメント