就職後の“配属”が思い通りにいかなかった時、「これは外れクジかもしれない」と思ったことはありませんか?
でも実は、その配属先が自分だけの専門性を育てる土壌になるかもしれません。
がん専門薬剤師の私が経験してきた“現場で専門を育てる視点”を、今回はご紹介します。
目次
- 配属先ガチャとは?
- 「希望と違う部署」って本当に“外れ”なの?
- 専門は“出会うもの”ではなく“育てるもの”
- 日々の業務が未来の専門性をつくる
- チャンスは、あとから気づくことが多い
- おわりに:配属先を“踏み台”ではなく“入り口”にする
1. 配属先ガチャとは?
「配属先ガチャ」とは、希望通りに配属されるかどうかが“運任せ”であるように感じる現象を指します。
特に医療現場では、病院全体の人員バランスや病棟の事情が優先され、自分の希望が必ずしも通るとは限りません。
ですが、その“想定外の環境”こそが、新たな専門性を芽生えさせるチャンスかもしれません。
2. 「希望と違う部署」って本当に“外れ”なの?
「がん領域をやりたかったのに、糖尿病の病棟に…」
「外来希望だったのに、まさかの混注室スタート…」
そんなとき、「外れた」と感じるのも無理はありません。
でも、本当に“外れ”でしょうか?
どの部署にも専門性は存在し、どこにいても“深める”姿勢さえあればキャリアは積み重なります。
3. 専門は“出会うもの”ではなく“育てるもの”
専門性は“偶然の出会い”だけで形成されるものではありません。
日々の観察、疑問、探究心を通じて「気づけばこの領域に詳しくなっていた」という形で築かれていくのです。
私自身、初期配属は緩和ケアチームとは関係ない部署でしたが、がん患者さんとの関わりを深める中で自然とその道へ進んでいきました。
4. 日々の業務が未来の専門性をつくる
毎日のルーチン業務も、意識次第で“専門のトレーニング”に変わります。
例えば:
- 副作用の出現頻度や傾向を記録し、対策を考える
- チームカンファレンスで発言してみる
- ガイドラインを調べ、医師とディスカッションしてみる
こうした行動の積み重ねが、「この領域なら自信がある」という感覚につながります。
5. チャンスは、あとから気づくことが多い
人は、経験の最中にはその価値に気づけないことが多いものです。
数年後に「当時のあの経験があったから、今この業務に活きている」と思えることも。
重要なのは、どこに配属されても“その場で学びきる”姿勢です。
6. おわりに:配属先を“踏み台”ではなく“入り口”にする
配属先を「ここは仮の場所」「いずれ異動すれば…」と捉えてしまうと、チャンスは遠のいてしまいます。
むしろ、その部署で“誰よりも詳しくなる”つもりで働くことで、どんな場所でも専門性を育てられるようになります。
配属ガチャに一喜一憂するよりも、今いる場所を“キャリアの土壌”に変える力を育ててみてください。

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