がん関連の認定薬剤師を目指すとき、最も多くの人が悩むのが「症例集め」です。
実務経験があっても、いざ症例要件を満たすとなると「どの症例をどう記録すればいいの?」「チャンスが回ってこない…」と悩む声をよく聞きます。
この記事では、がん薬物療法認定薬剤師やがん専門薬剤師などを目指す際に必要な「症例集め」の現場での工夫について解説します。
認定薬剤師で求められる「症例」とは?
たとえば、がん薬物療法認定薬剤師(日本病院薬剤師会)では、以下のような症例提出が求められます。
- 実際に関与したがん患者の症例(15例程度)
- 薬学的介入内容やその結果を記録
- 各症例のがん種・治療レジメン・副作用マネジメントなどを記述
この「実際に自分が関与した」というのがポイントで、形式的な関与では症例要件を満たさない場合もあります。
症例が集まらない理由とその対策
【よくある悩み】
- そもそも抗がん剤患者の担当になれない
- 投与設計やモニタリングの場に関われない
- 症例記録を後回しにしてしまい、記憶があいまいになる
【対策1】積極的にチーム医療に参加する
- がんカンファレンスや回診に顔を出す
- 医師・看護師と信頼関係を築く
- 自分から「この患者さん、担当させてください」と発信
【対策2】「症例になりそうな患者」の視点で業務を見る
- 副作用対応や支持療法の工夫があったケースはメモ
- 治療変更のきっかけとなるような薬学的提案は、症例価値が高い
- 見逃しがちな「支持療法だけ関与した症例」も候補に
【対策3】1人で抱え込まず、チームで「症例共有」する文化を
- カルテ内のSOAPをグループ内で振り返る時間を設ける
- 「この症例は認定向き」と声をかけ合える環境に
症例の記録は「リアルタイム」に、「簡易で」残しておく
忙しい現場では、後から症例を起こす時間が取れないものです。
スマホのメモアプリや共有Excel、Googleフォームなどを活用して、最低限の要点だけでもリアルタイムで記録しておくのがコツです。
記録しておくべきポイント例:
- 患者背景(年齢・性別・がん種)
- 使用レジメンと投与期間
- 介入内容(副作用への対応、投与設計への助言など)
- 介入の結果・反応(改善した/治療継続可能になった 等)
現場で症例経験を得やすくする3つの工夫
① 症例ノートを作る
簡単なフォーマットを作り、日々の症例を蓄積。後で正式な書式に落とし込む。
② 指導薬剤師や上司に「自分の希望」を伝える
認定を目指していること、症例が必要なことをあらかじめ相談しておくと、担当症例が回ってくる可能性が高くなる。
③ 認定取得者の症例を見せてもらう
先輩薬剤師の症例記録は非常に参考になります。院内に取得者がいなければ、外部セミナーやSNSを活用してネットワークを広げるのも◎。
まとめ:症例は「待つ」ものではなく「取りにいく」もの
がんの認定薬剤師を目指すなら、日々の業務の中で「症例になるかも」という視点を持つことが何より大切です。
最初から完璧な症例でなくても構いません。
「記録に残す → まとめる → 振り返る」のサイクルを回していくことで、確実に前に進めます。

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