がん専門薬剤師が、現場の視点からわかりやすく解説します。
抗がん剤、ちゃんと説明できますか?
「この薬、どんな仕組み?」「副作用はなぜ出るの?」「飲み薬と点滴、何が違うの?」
抗がん剤について質問される機会は多いもの。
本記事では、抗がん剤の基本的な種類から、副作用のメカニズム、薬剤師の関わり方までを解説します。
そもそも抗がん剤とは?
- がん細胞を攻撃する薬剤の総称
- 正常細胞にも影響を与える「諸刃の剣」
- 大きく分けて3種類:殺細胞性抗がん剤、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬
🧪 殺細胞性抗がん剤
DNAや細胞分裂の過程に作用して、がん細胞の増殖を止める。一番最初に作られたのはこれ。
例:シスプラチン、パクリタキセルなど
🧬 分子標的薬
がん細胞特有のタンパク質を狙い撃ち。副作用はその標的に影響され、発現することが多い。
例:イマチニブ、エルロチニブなど
🛡 免疫チェックポイント阻害薬
免疫の“ブレーキ”を解除し、がんを免疫で攻撃させる新しい治療。
例:ニボルマブ、ペムブロリズマブなど
なぜ副作用が出るの?
がん細胞と同じように「増殖の早い正常細胞」にも作用するため、副作用が出ます。
影響を受ける部位 | 主な副作用 |
---|---|
消化管上皮 | 吐き気、下痢、口内炎 |
骨髄 | 白血球減少、貧血、血小板減少 |
毛母細胞 | 脱毛 |
また、免疫チェックポイント阻害薬では特有の副作用(irAE)も出現することがあります。
抗がん剤の使い方・使い分け
- 術前化学療法:腫瘍を小さくして手術で切除する
- 術後補助化学療法:再発のリスクを下げる
- 切除不能、進行再発症例:延命・QOLの改善を目的に
患者さんの年齢や合併症に応じて、用量調整や支持療法の工夫が求められます。
チーム医療における薬剤師の関わり
抗がん剤治療において、薬剤師は次のような場面で活躍します。
- 治療前:レジメン設計、安全性確認、相互作用のチェック
- 治療中:副作用のモニタリング、支持療法の調整
- 治療後:継続治療の判断サポート、副作用対策の提案
薬剤師の視点からチームに“安心”と“根拠”を提供できることが強みです。
まとめ
抗がん剤は「怖い薬」ではなく、正しく使えば「心強い味方」です。
医師・看護師・薬剤師、それぞれが役割を理解し協力することで、患者さんにとってより良い治療が提供できます。
チーム医療の中で、抗がん剤を“使いこなす”視点を持ちましょう。
これからのブログで細かく解説していきます。

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