チーム医療の中で薬剤師が果たす役割とは? ー連携が生む“医療”が未来を変えるー

キャリアシリーズ

医療が高度化・複雑化する現代において、チーム医療の重要性はますます高まっています。
そんな中で薬剤師が果たすべき役割とは何か?本記事では、私自身の経験を踏まえて「薬剤師がチーム医療でできること」についてご紹介します。

チーム医療とは?

チーム医療とは、医師・看護師・薬剤師・栄養士・リハビリスタッフ・ソーシャルワーカーなど、多職種が連携して一人の患者さんを支える医療体制のことです。
それぞれが専門性を活かしながら、患者中心の医療を実現するために協力します。カンファレンスで治療方針を確認したり、熱い議論を重ねたりします。

薬剤師の主な役割

  • 薬物治療の設計・提案(処方提案、副作用管理)
  • 薬剤の相互作用や生理機能(腎機能や肝機能)に基づく投与設計
  • 服薬指導とアドヒアランス支援
  • チームメンバーからの薬剤に関する相談対応
  • チームカンファレンスへの参加

これらを通じて、薬物治療の最適化や患者のQOL向上に貢献しています。

チームにもたらす具体的メリット

薬剤師がチームに関わることで、以下のような効果が期待できます。

  • 副作用の早期発見・対応による治療継続率の向上
  • 医師の処方設計負担の軽減
  • 看護師との連携による服薬状況の把握と副作用の早期発見及び対処
  • 適正使用の推進による医療資源の効率的活用

他職種と連携する際に大切にしていること

  • 「薬剤師視点」の情報を分かりやすく伝える
  • 相手の専門性を尊重する
  • 患者さんの全体像を捉える姿勢を共有する

薬剤師も“患者の一人の理解者”としてチームに貢献する姿勢が重要です。

【エピソード】緩和ケアチームでの連携から学んだこと

肺がん患者さんの疼痛管理で、主治医から「オピオイドの切り替え(スイッチング)」を相談されました。
トラマドール製剤により疼痛を管理していましたが、疼痛が増強、歩行も難しくなってきました。治療意欲も低下し、リハビリを休むようになり、食事摂取量も低下、体重も減ってきました。

腎機能も低下していたため、腎機能の低下により副作用増悪リスクのあるモルヒネではなく、オキシコドンをトラマドールから等価換算ではなく、増量での変更を提案。

オキシコドンへの切り替え後、痛みが改善し、患者さんから「楽になった」と感謝の言葉をいただきました。疼痛が改善後、眠気や吐き気の副作用もなく経過しました。管理栄養士の介入により、食事摂取も少しずつ増え、意欲も向上していきました。リハビリにも積極的に取り組むようになり、自分で歩行し病棟を散歩するように。

退院後、自宅で趣味を楽しみ、通院で治療をするようになりました。チーム全員で患者さんの安寧を支えたと実感できた瞬間でした。

まとめ:薬剤師の強みを活かすチーム医療へ

薬剤師がチーム医療に積極的に関わることで、薬物治療の安全性・有効性を高めるだけでなく、医療者間の信頼関係や患者さんとのつながりも深まります。
これからの薬剤師には、「薬の専門家」としてだけでなく、「医療の一員」としての自覚と行動が求められます。

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