「抗がん剤って副作用が強い薬でしょ?」
「薬剤師が抗がん剤に関わるって、具体的に何をするの?」
このような疑問を持っている薬学生や若手薬剤師も多いと思います。
がん化学療法の現場では、薬剤師の専門的な知識と判断力が不可欠です。この記事では、抗がん剤の基本と薬剤師の役割について、わかりやすく解説します。
そもそも抗がん剤とは?
抗がん剤(がん化学療法薬)は、がん細胞の分裂や増殖を抑える薬の総称です。手術や放射線治療と並ぶ、がん治療の「三本柱」の一つです。
大きく分けると、以下のような種類があります:
- 細胞障害性抗がん剤(例:シスプラチン、ドキソルビシン)
- 分子標的薬(例:イマチニブ、エルロチニブ)
- 免疫チェックポイント阻害薬(例:ニボルマブ、ペムブロリズマブ)
近年は副作用を抑えつつ、より「がんだけを狙う」薬(分子標的薬・免疫薬)が増えており、治療の選択肢が広がっています。
抗がん剤治療のスケジュール「レジメン」とは?
抗がん剤は一定のスケジュール(=レジメン)で投与されます。
例えば「FOLFOX」というレジメンでは:
- 5-FU(フルオロウラシル)
- LV(レボホリナート)
- オキサリプラチン
を2週間ごとに繰り返し投与します。
このような治療スケジュールは、がんの種類・進行度・患者の状態によって決定されます。
薬剤師の役割①:レジメンの確認と処方チェック
薬剤師は、医師がオーダーしたレジメンに対して:
- 投与量が適正か?
- スケジュールがガイドラインに沿っているか?
- 腎機能や肝機能に応じた調整が必要か?
などをチェックします。
たった1つの入力ミスが命に関わることもあるため、抗がん剤では特に慎重な確認が必要です。
薬剤師の役割②:抗がん剤の無菌調製
抗がん剤の中には注射薬が多く、専用のクリーンベンチ(安全キャビネット)内で無菌的に調製されます。
薬剤師は:
- 防護具(ガウン・手袋・マスク)を着用
- 薬剤の計量・混合・注入
- 安全に調製し、ミスなくラベリング
こうした作業は「がん薬物療法認定薬剤師」などの資格を持つ薬剤師が中心となって行うこともあります。
薬剤師の役割③:副作用の予防と対処
抗がん剤治療では、以下のような副作用がよく見られます:
- 悪心・嘔吐
- 骨髄抑制(白血球・赤血球・血小板の減少)
- 脱毛
- 口内炎・手足症候群
薬剤師は、患者ごとの副作用リスクを予測し:
- 制吐薬や白血球増加因子(G-CSF)の提案
- 副作用の重症化予防
- 医師への情報提供・対応提案
など、治療の安全性・継続性を支える重要な役割を担っています。
薬剤師の役割④:服薬指導と患者サポート
抗がん剤は、経口薬(飲み薬)も増えています。
そのため、薬剤師は以下の点を丁寧に説明する必要があります:
- 飲み忘れたときの対応
- 副作用の兆候と対処法
- 食事や生活上の注意点
また、患者さんは治療や副作用への不安を抱えているため、薬剤師が信頼される「相談窓口」になることも大切です。
これからがん医療に関わりたい薬剤師・薬学生へ
がん医療は専門性が高く、奥が深い分野です。
しかし、その分だけ人の命や生活に直結する、やりがいのある領域でもあります。
まずは以下から始めてみましょう:
- 抗がん剤の名前と特徴を少しずつ覚える
- 代表的なレジメン(FOLFOX、CHOPなど)を知る
- がん薬物療法に関する勉強会・セミナーに参加する
そして、より深く関わりたい方には、がん専門の施設やチーム医療が充実した病院での勤務もおすすめです。
まとめ
抗がん剤治療は、医師・看護師・薬剤師など多職種が連携して成り立つ医療です。
その中でも薬剤師は:
- 正確な調剤・調製
- 安全な投与チェック
- 副作用マネジメント
- 患者への情報提供と心理的サポート
といった役割を担い、がん患者さんの治療を支えています。
がん医療に興味がある方は、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
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